廃墟の民
- hntn
- 2018年2月24日
- 読了時間: 2分
長い、長い道を歩いた。 自分でも驚くくらいの道。 何故、俺はこんなところにいる… 目が覚めた時に、俺は何か訳の分からない場所にいた。はっきり言うと、前後の記憶が曖昧だった。その忘却力が激しくなったのは単なる年のせいだと言い訳していたが、どうやら自分の身体を酷使してきた代償らしい。硫賀山にとうとう指摘されて紹介された所に受診したことでわかった。俺の身体は精神年齢について来ようとしていた。 過去のことを思い返してみると、ここに辿り着いた訳がわかった。俺は標的の情報を集めるためにこの町外れの廃虚に来ていた。標的が誰かもわかっている。 ーーー"ピエリスファミリー" 俺らの傘下に置かれていた下剋上ファミリーだ。 奴らが反抗し出したのはほんの一日前、夕暮れ時を狙って俺らの屋敷に襲撃を仕掛けた。 一体何が目的かはわからなかった。普段からあまり名前にすることがなかったファミリーであるため、誰一人襲撃する理由を知らなかった。ただ、うちのボス…斎ならば、知っていたかもしれない…。だが俺は暗殺者として、マフィアとして、奴らの家族として…討つべき敵は倒すのみ。それ以上に理由などは要らない。斎やゆずにはこの俺のやり方に興味など持たないだろう。奴らは似通っている点が多くてどうも他人同士だとは思いにくい…。 少し記憶に浸り過ぎていた。それにしても、俺はいくら思い出そうとしてもこんな枯れて貧相な色になった藪の上で、何故眠っていたのか思い出せない。
131011 曽刹さんの話 ピエリスは花の名前だったっけ
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