飛沫
- hntn
- 2018年3月14日
- 読了時間: 2分
ーーー目の前が澄んだ瑠璃色に溢れていた。 それは純粋という言葉がお似合いで、本質は残酷に塗れていた。 「おやおや、貴女はこんなところでおわる人間ではないでしょう?…いや…"人間"という形象は貴女には相応しくない、貴女は美しき"怪物"だ、その穢れなき本性を私に見せなさい」 そうだ、私にはやらなきゃいけないことがある…この人を倒すとーーー
午後五時過ぎ。 街中はキリスト聖誕祭に向けて神聖な白に包まれていた。さらさらと世界を侵食していく雪の結晶たちはどこか無邪気さを感じさせた。 ふいに空を見上げていたが、思い出すのは昔のことだった。自分が今まで辿ってきた道は本当に間違いないなんてことはない。
けれど、とても人に聞かせられる話でもない。 「おい、俺の話を聞いているのか?!」 一緒に街に来ていた相方のことを私は忘れていたらしい。空を見上げるのはやめて彼の瞳を見た。 「ごめんNEX、ちょっと考え事してた」 私が口を開くとNEXは不気味そうに首を傾げた。 「…お前が考え事とか…今日は荒びそうだな」 「それってお前がお怒りのときだろう?」 「なっ!!」 俺をバカにしてるのか、といったことをしゃべっていたがよく覚えていない。私はまた空を気にしていた。 その日は仕事があった。何やら深刻な話らしかった。 連続殺人事件が巷で噂になっているらしい、その事件を引き起こしている犯人ー殺人鬼を突き止めて欲しいということだ。奴は人通りが多いところを狙っているようで、こんな日には殺人鬼は現れるらしい。
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